旗持ちが好き
華やかに舞う
仲間の後ろで
黙って凛々しく
団旗を支える旗持ちが好き
自分が注目されてるとは思わないで
誠実に
道に影を落とし
身動ぎもしない旗持ち
一番遠くにいながら
時の声と共に
最初に会場に入り場を変える
強風の時も
雨の時も
旗を黙って支える
あなたが好き
置き河童
まるで世の中が川になったみたい
嬉しくて
毎日外に出る
でも誰もいない
子供はすぐに家に帰っちゃって
虫は空を飛べなくて
猫はどこかに行ったきり
魚も跳ねない
河童だけの世界は
物足りない世界
多雨
目を閉じて横たわる
外は雨
体の中の水分が
雨と混じり合い
意識と共に溶け合う
緑になり
海になり
砂漠を渡り
何処へでも行く
眠れぬ誰かの心を訪れ
暗闇で彷徨う人に
子守唄を歌い
キノコの胞子を流し
刀の鍔の上で弾ける
傘の上で踊り
川に注ぐ
私たちは自由
身体の中の水を揺らして
この自由を楽しむ
Cat
猫は居心地の居場所を選ぶ
猫は気持ちのいい場所をよく知っている
この世に猫がいる限り
まだまだ世界は安全だ
少なくとも
まだ安全な場所がある
猫が自由である限り
世界から自由は失われない
与えられた自由を駆使して
今を生きる
天気がままならないことくらい
たしいたことではない