2019-01-01から1年間の記事一覧

巡る

囲碁には石を置けない場所がある 黒ヤギさんと 白ヤギさんのように いつまでもやり取りが続いてしまう場所 あなたと私は会う時も会わない時も 手紙のやり取りを続けてきた 囲碁の勝負はいつか終わりがくるけれど 私たちは コウに石を置くように いつまでも次…

柚子のトゲトゲ

柚子のトゲトゲは 細く伸びた枝についている 我が子を守るように 誰かが苦労してもいだ 日差しを集めた黄色の優しさは 柚子の中にある 遠い昔 あちらこちらを彷徨ったユダヤ人は 仮庵の日にシトロンを飾る 優しい香りに癒されたいのか たくましい棘の守りを…

Avicii

オーロラに包まれるような夜の中 声を灯火にして AとVの台形を浮き上がらせる キャンドル一つ一つに 明かりを灯すように 一人ずつ AViciiの歌を歌う 星に返すのではない 捧げるのではない ここから始めるために 一人一人 繋いでいく AとVを重ねて 新しいAvic…

日差しの魔法

なんでもない のっぺりとした緑が 突然 影絵のステージに変わる 雨上がり 日差しは セロファンになって いく層にも色を重ねる www.youtube.com

雨は魔法

雨は魔法 醜いものを美しく変えたりする 時にアスファルトは湖面のよう 見慣れた街が魔法にかかる それを証明したくて あちらこちらにレンズを向ける 魔法とは難しい レンズを逃れてのらりくらり 何度やってもうまくいかない 美しいものを眺める時は 魔法を…

1mm imin 1h 1Day

子供の頃好きだった物を 信じられなくなる日がやって来る 茹でた落花生なんか美味じゃなかった 今はキリなく食べている バナナの輪切りの大群が目玉に見える コンテンポラリーなんか好きじゃなかった 今はかっこいいと思ってる 何度読み返しても 胸に鮮やか…

銀木犀 去り 雨の中 金木犀を 名残惜しみ 水仙の前に 柊の香り 雪のように凛とした白さ 冷えた空気に 広がる高貴な 香り この下で 誰がキスをするの 月の下 柊の花はまるで天の川 この下で 誰がキスをするの 小春日和の陽射しの中で 考える www.youtube.com

Remembersday

通りで子供が走り回る バスを待ちながら 今日の優勝を考える 何気ない日常 昔 たくさんの人が 生命を落として得た生活 人々は 赤いポピーを胸に携える 何も知らぬ鳩が ポピーを集めて 教会の窓に巣を作る 遠くもない昔 たくさんの人が血を流した 赤いポピー…

50th

子供は大人が思うよりも哲学的で いつか訪れる死について 考えている どこから づして生まれてきたのか 考えている 大人は忙しさに昔を忘れて 答えを先延ばしにする そんな時 いつも一緒に考えてくれる 大人がいる街 それがセサミストリート 声が出なくても …

幻想

父は私に日本らしさを伝えようと躍起だった 清水が川となり島を駆け巡り 人々は野山から旬の野草を 果実を手にし 味わう その時 既にそれは幻想となっていた 日本の旅行会社は 今日も日本らしさを海外旅行者に伝えようと躍起 どうでしょう 日本らしいでしょ…

お化けになろう

愛する町の お城が燃えたって お化けになる日 柱を炎が伝ってた 生きてることと 向こうの世界にいることと どっちが不便か考えていた朝 お化けになって 会いたいに人に会うことを 考えていた朝 愛する町のお城が燃えた お化けになって 飛んで行きたかった朝 …

一瞬

私がカメラを買ったのは 一瞬を捉えるため あなたがせわしなく羽を動かすのは 生きるため 蜜はすぐに吸わないと 誰かのものになっちゃう こないだの嵐で 庭はすっかり変わってしまった こないだの嵐は 秋を連れて来た 瞬間を追いかけて あなたは今どこに? w…

金木犀

暑い季節の頃は思う 晴れ渡る日が続くとき 思い描く 小さな 橙色の花が咲いたらポプリにしよう 町中拡がるあの香りを閉じ込めて ポプリにしよう その頃は忘れているのだ 小さくて香り高い花が咲く頃は 雨がやって来る 温もりを下げにくる 雨が降る 雨のよう…

ホトトギス

あちらこちらで 私こそがこの国の主に相応しいと 自分に都合のいい結果になるよう 策を講じる ホトトギスは 今年も黙って 王冠を差し出す 気品ある王冠は山にひっそりと咲き それまでは誰にも知られない 思慮深い哲学者のように www.youtube.com *コメント…

くぬぎ

彼女が拾うどんぐりは いつも縦長で艶々のピカピカ しっかりしたベレーを被っている ある日彼女が拾ったどんぐりは いつものベレーを被ってなくて まん丸で 彼女はそれをずっと見つめていた この世に答えは一つだけではないのだと知った 秋の始まりの朝 www.…

Happy first day of Fall & Rosh Hashanah

いかなる時も その時期を 忘れず伝えてくれる花があった キャンドルのように 赤い芯を地面から出し その日が来ると一斉に 地面は焔を解き放たれたかのようになる とても魅惑的で危険な焔は 不吉さと 美しさを保ち いつでも私たちの目を惹き付ける 今年 とう…

青空キッチン

屋根が吹き飛んで まるで都合のいいジオラマみたい 机の上のミニチュアセットみたい ジオラマみたい でもこれはtyphoon faxai の通り過ぎた後 空を見上げるにはちょうどいいけれど 味噌汁にも雨が入るだろう ねずみでもなんでもやって来るだろう typhoon fax…

Half

中秋的夜晚我将明月和星星排成最美的祝福:中秋快乐! 前回の満月がどうだったか覚えていない判っているのは一日一にち日が短くなり また夜が深くなることそれでも月は確実に満ち欠けを繰り返し新しい季節を知らせている *今までYahooブログでお世話になっ…

どっちが先に生まれたの?

どっちが先に生まれたの? 隣同士のセミの抜け殻 大人になって どこへ飛んで行ったの? 翼を広げたものは もう 殻に戻ることはない どっちが先に生まれたの 枝からもがれた胡桃の実 落ちた果実が 元に戻ることがもうない www.youtube.com

見せてあげたい

お父さんは白杖を持って 駅の構内を歩く 顔はまっすぐ前を向く 片手に白杖 もう片方に娘の手 娘は嬉しそうに お父さんの顔を見上げる その顔を見せてあげたい 夏休みの笑顔 *公私共にバタバタしておりなかなかこちらには伺えませんでした 残暑お見舞い申し…

安全

安全でありたいので 360度の視野を持つ 安全でありたいので 柵の向こうにいる 安全でありたいので 見晴らしよく でも 世界とは 隔絶せず 側にいる www.youtube.com

可哀想

この日 沖縄の人を可哀想と言わない この日 シンガポールで 日本人によって 大量に虐殺された 中国人のことを 可哀想とは言わない 返ってくる言葉は 捏造だ 私たちのせいじゃない 知らない どこかの国の 土の下で いくつもの魂が 驚く日がやってきた 可哀想…

納涼

日差しは遠慮なく熱を送る 秋が来る前に 惜しげなく 人々は 夏を味わいながら 涼しいものを探す 浮かれていたい 冷静でいたい スイカをかじりながら 食べ過ぎを気にする ああ夏よ 今年はどんな風に過ぎ行くのか 日差しにやられながら 吸血鬼よりはタフな人間…

夕暮れ駅前が赤くなる

夕暮れ 駅前が赤くなる ロータリーを消防車が埋め尽くす 興奮した人たちが写真を撮りまくる 撒かれた水で冷却状態 何も知らずに いつものように あちこち寄り道 家までの道 その日どうしても コンビニの嘘くさい巻き寿司食べたくて 何も知らずに コンビニを…

地上の星座

雨続きの雑木林では キノコがやたらに増えた 雨で流され やがて傘になるキノコは 見知らぬ惑星へと降り立つ 宇宙飛行士のような気持ちだったろうか 小さな小さな胞子はさながら星のようである 雑木林という広大な宇宙の中で 新しい生命を育み またどこかの宇…

花火

水底を蹴る 思うがままに広がる 背中を光らせて 自由に広がる 地上を蹴る 自由に広がる 大空の中 人々の顔を 上に向けて 胸の中を蹴り上げる 形にならない思い 憧れ 体の中で 自由に広がる www.youtube.com

ジオラマ

誰かがこの街を愛し 深く愛し つぶさに見つめて作った 小さな世界 公民館の小さなスペースで 息を止める世界 www.youtube.com

旗持ちが好き

華やかに舞う 仲間の後ろで黙って凛々しく団旗を支える旗持ちが好き 自分が注目されてるとは思わないで 誠実に 道に影を落とし 身動ぎもしない旗持ち 一番遠くにいながら時の声と共に 最初に会場に入り場を変える 強風の時も 雨の時も 旗を黙って支える あな…

置き河童

まるで世の中が川になったみたい 嬉しくて 毎日外に出る でも誰もいない 子供はすぐに家に帰っちゃって 虫は空を飛べなくて 猫はどこかに行ったきり 魚も跳ねない 河童だけの世界は 物足りない世界 www.youtube.com www.youtube.com

多雨

目を閉じて横たわる 外は雨 体の中の水分が 雨と混じり合い 意識と共に溶け合う 緑になり 海になり 砂漠を渡り 何処へでも行く 眠れぬ誰かの心を訪れ 暗闇で彷徨う人に 子守唄を歌い キノコの胞子を流し 刀の鍔の上で弾ける 傘の上で踊り 川に注ぐ 私たちは…